好きな人は「シャラポワ」

中学生の時の修学旅行の話。

行き先は京都と奈良で、定番の修学旅行先だ。

その道中、新幹線ではなくてなぜかバスだった。

 

 

神奈川から京都は長旅だ。

なのでバス内でゲームをすることになった。

バスガイドさんが提案したゲームは、名前と質問をそれぞれ別の紙に書いてくじで引き、引かれた人はその質問に答える、というものだった。

 

 

当時中学3年生で思春期真っ盛りのぼくら。

質問の9割が「好きな人は?」だったと思う。

女子は「担任の先生」という逃げ道がある中、スクールカースト上位の男子が「男子は堂々と好きな人を言うのがイケてるっしょ?」みたいな風潮を作り出していた。

 

 

今だったら、「ちゃんと好きな人を言いなさいよ」と僕も思う。

一時の恥だが、それがきみの思春期の財産になるからさ。

でも僕は、友達と好きな人の話すらしたこともないようなシャイニングシャイボーイだったのだ。

しかも女子にちょっと話しかけられたりしたぐらいで好きになってしまうような、童貞を煮詰めたような男だった。

 

 

そして僕の名前がくじで引かれ、「好きな人は嫌だ!好きな人は嫌だ!」と、組み分け帽子を被った時のハリーポッターぐらい祈っていたものの、質問はもちろん「好きな人は?」だった。

15にして、神様はいないとはっきりわかったね。

 

 

「どうしよう」と隣に座っていた友達に相談した。

すると友達が助け舟を出してくれた。

 

 

皆様は「船場吉兆のささやき女将」を覚えていますでしょうか。

その昔、高級料亭「船場吉兆」で食品偽装があり、その謝罪会見が開かれた。

言葉に詰まった息子に対して、「頭が真っ白になった…」などと弁解の言葉を指示するため、横に座った女将さんが小声でささやいたのだ。

これがまあ丸聞こえで、事件以上にささやきが話題となった。

 

 

この「船場吉兆の女将」のように、友達が僕に小声で指示を出してくれた。

 

バスガイドさん「好きな人は?」

友達(…シャラポワ)

僕「シャラポワ…」

バスガイドさん「!?」

 

 

今まで生徒の名前が出てきてきゃーきゃー言っていたのに、突然の「シャラポワ」

シャラポワといえば当然、史上10人目のグランドスラムを達成した名テニスプレイヤーの「マリア・シャラポワ」だ。

 

 

この道中でそんなワードが出てくるとは思ってもいなかったのだろう。

バスガイドさんも驚きを隠せない。

そしてクラス一同「ハァ?」という空気になっていた。

 

 

動揺しながらもバスガイドさんは質問を続けた。

「…好きなところは?」

 

 

友達(…叫び声)

僕「叫び声です…」

 

 

シャラポワといえば、ボールを打つときにめちゃ大きい声で叫ぶのだ。

シャラポワの真似をするときはみんな叫んでいた。

 

 

スクールカースト上位のバスケ部男子からの「それはねえわ」や「まじできめえ」という声が聞こえた。

男性に「学生時代にバスケをやってました」と言われると身構えてしまうのは、紛れもなくこのせいだろう。

 

 

楽しいはずの修学旅行がとんでもないスタートから始まった。

その後はなんやかんや楽しかったのだけれども、よく持ち直したと思う。

多分今より中学生の時の方がメンタル強い。

 

 

…でもですよ。今振り返ってみたらこれめちゃくちゃおもしろくないですか?

「好きな人は?」の質問でささやき女将をやったわけですよ。

友達もあそこでよくシャラポワが出たな。

「新垣結衣」とかだったら全然おもしろくなかったもん。

 

 

はー、中坊にはやっぱり俺らの笑いのセンスがわかんねえんだなあ。

10年早かったわ。やっぱり俺はゴッホだな。

死後に評価されるタイプ。

 

 

というとんでもない強がりを30過ぎて言い出しております。

ちなみに滑ったときなど、僕はよく脳内でこの言葉を自分にささやき、これを「ゴッホする」と勝手に言ってます。

 

 

みなさんも嫌な思い出などあれば、ゴッホしていきましょうね😌

 

 

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