ほろ苦く、そして芋臭いチョコレート

皆様はバレンタインデーの日に病気になった事はありますか?

 

 

私はあります。

 

 

あれは高校1年の時。

 

私は男子2人、女子38人という男なら誰でも憧れるハーレムの様なクラスに所属していました。

 

 

しかし現実は残酷。

 

 

38人の女子達は、目の前にいる我々を無視するかの如く、他のクラスや他校の男子とばかり付き合い、中には大学生や社会人との大人の恋愛を楽しんでいる者もいました。

 

 

どんなにお腹が空いていてもパクチー嫌いはパクチーを食べないという事でしょうか?

 

 

そんな私と、もう1人の男子Aに、恐怖の日が近づいてきます。

 

 

バレンタインデーです。

 

 

 

チョコがもらえない事は確定。

 

本当に怖いのは、周りの女子の視線です。

 

 

「あいつら、いつもよりソワソワしてる〜。変な期待しちゃって笑」

 

 

そんな心の声が今にも漏れそうな状況を、我々は極端に恐れました。

 

 

バレンタインデーの前日、可哀想な男子2人は緊急会議を開きます。

 

イルカ並みのIQを持った我々が導いた答え。

 

それは

 

 

「ソワソワしない」

 

 

2人は熱い握手を交わし、学校を後にしました。

 

 

 

しかし、来たる当日。

 

私は病気に罹ってしまうのです。

 

その病気の名は

 

 

「仮病」

 

 

やはり、どうしても学校に行きたくなかった私は、Aを裏切るという行為をしてしまったのです。

 

「ごめんっ…A…」

 

 

 

翌日、あらゆる謝罪の言葉、言い訳を考えながらAのいる席に向かいます。

 

しかし、Aの表情はどこか自信に溢れています。

 

 

「昨日チョコ6個貰っちゃった笑」

 

 

本当に裏切られていたのは、Aではなく、

 

 

 

 

 

私だったのです。