常盤とデートさせてください

【17:30】老舗カフェで待ち合わせ

待ち合わせ場所は新宿の有名な老舗カフェ「cafe AALIYA」。服装は白のボタンダウンシャツ、ブラウンのスラックス、黒のローファー。この夏の時期なら、日傘で相合傘なんてのも悪くない。

 

彼女がやってきたら、まず僕はこう聞くだろう。「やあ。今日も素敵だね」。僕の可愛い君はにっこり微笑んで「ええ。ありがとう」と照れながら言ってくれるかもしれないし、「誰にでも言うの?」と機嫌を悪くしてしまうかもしれない。それは神のみぞ知ることだ。

 

【18:00】新宿バルト9で映画を観る

カフェを出たら、辺りをぶらつきながら自然な足取りで僕達は映画館へ着く。ここで道を調べたりしない。事前に道順は完璧に把握している。小さな段差や、足をひっかけそうな箇所もすべて織り込み済みだ。準備のないデートはドの音が出ないピアノみたいなものだ。

 

チケットはあるが、僕は自然にこう聞くだろう。

「これからどうしようか。映画でも観る?」ーーと。

観る映画は何だっていい、流行の映画でも、上品な甘さのフランス映画でもいいだろう。甘さを6段階に分けるとするなら、きっかり5がベストだ。

 

【20:30】そして、約束された場所へ

辺りを歩きながら、君はこう言うかもしれない。「ねえ、私のことどう思ってる?」――まずは少しはぐらかして、「このアクセサリー、なかなか悪くないね」と答えるのがマナーだ。

 

 

……気づいたらもう十二時を回ってしまった。

そんなわけで、僕は時の淀みの中ですぐに眠りこもうとする意識を蹴とばしながら、この文章を書いています。

 

おやすみなさい?