【夏の残り香】

 

 

 

 

なんば駅の改札付近で

突如として漂ってきた

 

香ばしいかおり

 

かぎ覚えのある

ほろ甘く素朴で

小麦粉の焼けた香り

 

 

 

 

あ、カステラか

 

 

こんなありふれたものなのに

匂いだけでいろんな思い出が蘇る

 

蒸し暑さ、喧騒、賑わい、掛け声、花火の音圧、

親にひかれた手の感触、

たませんの黄身をこぼさず食べるのに苦労した風景…

 

 

もう何年も前のことなのに

匂いを嗅いだ瞬間、

その頃の空気まで一緒によみがえる

 

不思議ですよね

 

 

 

 

僕もふとした瞬間に

思い出してあったかい気持ちになるような

 

そんな存在になれてたらいいな

 

 

そんな事を思いながら

 

食事制限中なので

グッと口を一文字に固めて

後ろ髪をひかれながらその場を後にした

 

 

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